--.--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


2006.11.07

水滸伝/北方謙三著を読んで。

IMG_7621.JPG

北方謙三『水滸伝 一 曙光の章』文庫版を読んだ。
水滸伝は中国に伝わる古い小説である。
雑駁にいうと、国の腐敗に憂う勇士がアンダー・グラウンドに潜伏し、同士を募り世を正そうとするテロリストの話である。

しかし、14世紀元代の歴史書『宋史』に徽宗期の12世紀初めに宋江を首領とする三十六人が実在の梁山泊の近辺で反乱を起こしたことが記録されているそうで、講談師たちが12世紀中頃に始まる南宋の頃に宋江反乱の史実をもとに物語を膨らませていったと推定されている。13世紀頃に書かれた説話集『大宋宣和遺事』には、宋江以下三十六人の名前と彼らを主人公とする物語が掲載されているそうだ。
15世紀頃にまとめられた水滸伝では、三十六人の豪傑は3倍の百八人に増やされた。また、荒唐無稽で暴力的な描写や登場人物の人物像を改め、梁山泊は朝廷への忠誠心にあふれる宋江を首領とし、反乱軍でありながらも宋の朝廷に帰順し忠義をつくすことを理想とする集団と設定されて、儒教道徳を兼ね備え知識人の読書にも耐えうる文学作品となった。(以上wikipediaより)

とはいえ、反乱軍を主人公とする水滸伝は儒教道徳にはそぐわず知識人には敬遠され、もっぱらめくるめく時代の中で、虐げられてきた庶民の読み物として親しまれたようで、僕が以前読んだ『大地の子』の文革の頃は当然禁書扱いだったそうだ。

日本でも吉川英治、柴田錬三郎など様々な翻案がある。
北方謙三の水滸伝は全19巻の大作で、現在まで100万部以上のベストセラーとなり、今年第9回司馬遼太郎賞を受賞した。
先月から待望の文庫が発売され、毎月一巻ずつ出版される。
電車読書にはぴったりだ。
北方水滸伝は中国の訳書をもとに、完全に北方謙三の作品として作り替えられた作品で、そういう意味では氏のハード・ボイルド時代からの集大成といえる。
オリジナルの登場人物像を北方流に噛み砕き、微細な心理描写や氏がもとより得意とする武闘シーンが折重なり、人間における正義、勇気、痛みの意味を改めて問いかける。
村上龍的な後味の悪い暴力至上主義ではなく、かといってよくある歴史偉人伝でもない、壮快な読後感を味わえる。

それぞれの巻(章)において、メイン・ファクターが設定してあり、第一巻は豹子頭 林冲(ひょうしとう りんちゅう)がクローズ・アップされている。
読んでいるうちに、だんだんある記憶が蘇ってきた。
1973年10月~1974年3月日本テレビ系で放送されたテレビ・ドラマ『水滸伝』である。
中村敦夫が主演で、林冲だったのだ!
以来、読みながら中村敦夫をイメージして読んでしまった。
様々な登場人物に自分の体験やタイプを重ねて読んでも面白い。
そこらへんが、時代を超えて水滸伝が親しまれる由縁なのかも知れない。

冒頭の水滸伝来歴を読まれて、敬遠される向きもあるかも知れないが、
僕が未だ北方水滸伝を読んでいない夏頃、北方氏とお会いした折にこういっておられた。
「noodles、俺は歴史小説を書いてるんじゃないんだ。俺の水滸伝は現代小説なんだよ」

15世紀に新たに書き直された水滸伝や先駆達が書いてきたもの然り。
最も新しい水滸伝こそ最良の『水滸伝』なのだ。

●北方謙三 水滸伝HP
●水滸伝詳細

水滸伝(1(曙光の章))
水滸伝(1(曙光の章))





banner2.gif
※お約束ですが、一つ!
スポンサーサイト


この記事へのトラックバックURL
http://boss48siki.blog47.fc2.com/tb.php/114-2fd3804a
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。