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2007.01.19

父親たちの星条旗/硫黄島からの手紙

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注)僕の映画評・読書評は、未見・未読の方のために、一切内容(あらすじ)に言及しないことを枷としております。あらかじめご了承願います。

さて、クリント・イーストウッド監督の、日米双方からの視点で描いた“硫黄島”2部作を観た。

父親たちの星条旗、硫黄島からの手紙
昨日、硫黄島からの手紙がゴールデン・グローブ賞外国映画賞を受賞(これを書いてるのは17日)した。喜ばしいことであります。
僕はまず、正月5日に『硫黄島からの手紙』をみなとみらい21ワールドポーターズで観た。
『父親たちの星条旗』を後回しにしたのは単館上映だからである。
つまり、これはイーストウッド監督は日本の映画ファンには『硫黄島からの手紙』を観てほしいということである。そして、願わくば『父親たちの星条旗』も観てほしいということだと判断した。

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これは重要なポイントである。
今まで、米国が描いてきた戦争映画はことごとく“ヒーローとしてのアメリカ”だった。
だが、『父親たちの星条旗』のエンディングでは、
“ヒーローなんていらないんだ、人々が、必要として勝手にヒーローが作り出される”
というようなメッセージで終わる。
『父親たちの星条旗』は米国人の戦争の傷みを描いており、かたや『硫黄島からの手紙』も日本人の戦争の傷みを全く平等な視点から描いている。
硫黄島の戦い”をリアルタイムで、日米双方向から捉えてある。
だから、互いの国が互いの葛藤をもって観ていい、という極めてリベラルな発想をもってして、平和の意義を問うてくる……。

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私ごとで恐縮ではあるが、10年ほど前にベトナムに旅をしたことがある。
訳あって、ガイドをしてくれた初老の紳士は、ベトナム外務省のエリートだった。
その方が親切な方で、僕は終止ベトナムの経済状況など興味本位で質問していた。
そんな中、ベトナム中部の少数民族の部落を訪ねたときに、だいぶ気心が知れてきて“ベトナム戦争”のことを質問してみた。
彼はあの戦争で、20年間穴の中で戦い、生活をしたあの“ベトコン”の一人だった。
トンネル生活に入る前夜、結婚式をし、終戦の20年後に家に戻ったら見たこともない二十歳の息子が迎えてくれて、本当に卒倒したというエピソードを少数民族の横笛を物悲しく吹きながら、涙まじりに流暢な日本語で話してくれた。
永いトンネル生活中、日本共産党婦人連から盛んに物資が贈られたそうで、彼は「この戦争が終わったらベトナムと日本は友好国となる」と信じ、贈られた日本の本をロウソクの灯で必死に読み、日本語を自力で勉強したそうである。気の遠くなるような孤独と失望の中で、大変な精神力と努力だと思う。そして、最後にこういった。
「日本人にはわからないかも知れないが、私たちにとってソ連兵は大事な友人だった……」
以来、僕は脳天気な米国製のベトナム戦争映画を観るのがいやになった。



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当たり前だが、米国人が作るベトナム戦争映画は、ベトナム人、旧ソ連人が悪漢として描かれる。
米国と友好国の日本も、そういう観念が自然と染み付いている。
だが、日本人が第二次大戦を描くと米国が悪漢と化す。
むろん、アメリカ人からすれば日本が悪いという話になる。

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しかし、イーストウッド監督は『父親たちの星条旗/硫黄島からの手紙』を通して、戦争における善悪の無意味さを徹底的に問いかけてくる。
戦争から得るものはヒロイズムなんかじゃなく“傷みと悲しみでしかない”ということを圧倒的なリアリズムで、たたみかけてくる。

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『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』、
どちらから先に観るか? 順番はどうでもいいと思う。
あるいは、どちらか一作だけ観てもかまわない。でも、どちらかを観れば必ず両方を観たくなるし、それがイーストウッド監督の“硫黄島”2部作の意味なのだ。
何故ならば、両方を観ることでより戦争における“善悪”という嘘くさい大義名分、その無意味さがより重く突き刺さってくるのだ。
戦争は“傷みと悲しみ”だけが双方に残る……。

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責任は当事者双方にある。
だからこそ、“硫黄島”2部作で、繰り返してはならない愚業を悔い改めるのである。





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